ネクラモノカキの住み処

根暗なやつがせめて物書きになるべくなんか書いてるところ。

もう一度、「あの場所」に行ってきた!(後編)

~前回までのあらすじ~

『くりかえしみるゆめ』のツイートの件で、なんと資生堂ギャラリー様直々に呼び出しをくらった大学生、サトウヤナギ。

ガチ説教かと思いきや、社員さんの意外にも和やかな雰囲気にほっと胸をなでおろす。

しかし彼はまだ気づいていなかった・・・社員さんの後ろにもう1人、ラスボス級の人物が潜んでいたことに・・・

 

 

 

社員さん「佐藤浩一さん呼んできますね!」

 

 

 

 

 

 

 

・・・あれ?

私いつから美術ライターになったんだっけ?

 

 

というわけで後編です!投稿遅れて申し訳ない!

やっぱ就活+謎解き制作+ブログの進行は無理があった!

一応これの件について、詳細とか今後の考えとかは明日当たり記事としてのっけるので読んでもらえると嬉しいです。

 

というわけで、この記事では7月29日まで資生堂ギャラリー様で開かれていたshiseido art egg第2弾、佐藤浩一展Crepuscular Garden 半開き花の庭」について書いていこうと思います。

 

 

7月某日、前編にあった会話の後くらいから話が始まります。

「え、作者さん来るの?」とおろおろしていた私のところに、社員さんが1人の男性を連れて戻ってまいりました。

 

社員さん「お待たせしました~。こちら佐藤浩さんです。」

 

※写真の利用とかは確認取ってないので、気になった方は美術手帖さん↓のインタビューをご覧ください。

bijutsutecho.com

 

 

 

 

 

 

僕「あらやだ…イケメンじゃない…」

 

 

 

なんか僕、というか一般の方の想像する「芸術家」とは打って変わって、爽やかかつ感じの良さそうそうな方が「あ、どうも」って感じで登場しました。

スタバの店員さん並のふわっとした感じでラスボス出てきたぞ、って感じで逆にビビりましたが。笑

 

 

 

社員さん「※事情説明※」

 

浩一さん「あ、ちらっと話はお聞きしました。冨安さんの個展の方で何かやられてた方ですよね。」

 

僕「あ、はい一応…冨安さんとも交流ってあるんですか?」

 

浩一さん「ありますよ。昨日とかここいましたし。」

 

僕「昨日!?」

 

浩一さん「shiseido art eggは僕と冨安さんと宇多村さんの3人がやる個展なんですけど、各会期の切れ目で3人揃うんですよね。僕のが昨日からだったので、それで。」

 

僕「なるほど~(これ行った日バレるやつやな…)。じゃあ次…宇多村英恵さんの時も?」

 

浩一さん「そうですね。8月3日だったかな。そのタイミングで冨安さんもまたいらっしゃるはずですよ。」

 

僕「だとしたら、これ来なきゃいけないやつだな~…」

※8月2日、行く準備しながらこれ書いてます。

 

 

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これの脇でひそひそとお話していました笑



と、こんな感じで3つ目の宇多村英恵展にも来廊することが決定したところで(社員さんがなんか準備しだすし)、作品のことについてもお伺いしようということになりました。

 

いや、だってなかなか無いですよ!作ったご本人様からお話をお伺いできる機会とか!

※こっから多少真面目な話に移ります。

 

 

僕「今回の「Crepuscular Garden」はどんなコンセプトで作ったんでしょうか?」

 

浩一さん「そうですね…サトウヤナギさんは、地上からここのギャラリーに降りてくるとき、なにか感じたりとかしました?」

 

僕「うーん、そういえば甘い香りがふわ~っとしたような。」

 

浩一さん「そう、今回の個展はその香りも含んでいるんです。映像とインスタレーションと、香り。それが今回の個展の根幹の部分ですね。」

 

 

僕「香りまで含めた作品ってすごいですね。

まず入ってきたときにイチジクが見えるようになっているのですが、今回の個展はイチジクをテーマに作られてるってことなんでしょうか。」

 

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地上から降りてくるとすぐに見える、イチジクのオブジェ。

 

 

浩一さん「そうですね。現在日本で栽培されているイチジクって、もともとイチジクコバチっていう蜂から受粉をさせてもらうっていう生態だったんです。でも人間が、品種改良という手段でもって彼らの生態を変えてしまったんです。言ってしまえば、人間からむりやり生殖の形を変化させられたっていうことで。」

 

 

浩一さん「今回協力していただいた農場の映像とかも、そういう視点で見るとまた変わってくるよな、と思います。農場って人間からしてみれば発展の象徴だったり、安定して食糧を確保する手段だったりするけど、植物側からしてみればディストピアとも思える。」

 

 

浩一さん「それと、面白いなと思ったのが、イチジクの受精には注射器を使っているっていうところですね。注射器って本来人間が使うものですけど、それがイチジクに使われるってことは、イチジクと人間って、そこの上で境界が曖昧になっているんじゃないかって考えてます。」

 

 

 

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イチジク農場の映像。イチジクの実に注射器で受精させている様子などが見られる。

 

僕「なるほど~。もともとイチジクって白い外皮と真っ赤な中身から人間を連想させられることがけっこうどこの文化圏でもありますよね。」

 

浩一さん「ですね。旧約聖書でアダムとイブの股間を隠していた葉っぱ、あれもイチジクなんですよ。これは、古くからイチジクが生殖や性のシンボルを使われていたってことなんじゃないかな。」

 

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旧約聖書のアダムとイブ。イチジクを運ぶ時のパッキングがされている。

 

と、こんな感じの軽いインタビューみたいな感じでお話をさせていただきました。

 

何気にすごいなーと思ったのが、佐藤浩一さんの説明がすごく理路整然としていたところ

自分の作ったものについて、それを作った理由とか含まれてる意識とかを、その場であった人にしっかり話せるってそれだけで一級品のスキルですよね。

現代アートなどは特に背景にあるストーリー性が重要なものが多いから、アーティストさんも自然とロジカルになるのかな。

 

 

そして最後に、実は個人的に1番気になってた質問をさせていただきました。

 

 

僕「アート作品って、よく見る人によって解釈が分かれたりすると思うんですが、作った側から見るとどうなんでしょう?

違う、そうじゃないんだよーとか思うこととかは…」

 

浩一さん「いや、そういうフラストレーション的なのはあまりないと思います。むしろそういう視点もあるんだっていう驚きとか、インスピレーションになるって感じかな。

だから、どんな方にであれ、感想言われて嫌だってアーティストはいないと思いますよ。」

 

 

いやー、安心しました。

素人がこんなブログやってますからね、1番怖かったんですよコレ…。

(まぁ僕がこういうこと考えるようになったのは2本のゲームが関係してるんですが、それはまたいつか)

 

 

実際、解釈の間違いとか、膨大な知識とかで、アートってハードルが高い、とっつきにくいってイメージを持たれてる方、一定数はいると思うんですよね。

私も事実、高校までそんな感じでしたし。美術の成績2でしたし。

 

なんか、そんな方たちも含めて、みんながアートをちょっとでも身近に感じてくれたらいいなーと思って、このブログは続けることにした次第です。

どこまで需要あるかはわからんけどね。とりあえず読んでくれる方がいる限りは続けようと思うよ。

 

ではでは、そんなこんなで佐藤浩一さんの「Crepuscular Garden」のお話はここで終わります..。

後編投稿が遅くなりましたが、待っててくださった方がいたらお礼言いたいです。

本当にありがとうございました!!

 

 

 

・・・でも、shiseido art eggの話は、もうちょっとだけ続くんじゃ。

 

次回、shiseido art egg レセプションへ潜入します!!! 

 

▼今回の個展

 

▼昨日読み終わった漫画。けっこう好き。

 

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